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■ 減圧障害 (DCI :Decompression Illness)

減圧障害はスクーバダイビング中に起こりうる減圧に関わる障害で、動脈ガス塞栓(AGE)と減圧症(DCS)があります。原因や患部は異なることがありますが、手当ての仕方が同じなため2つの障害を鑑別するよりも、減圧による障害なのか、他の原因での障害なのかを判別することが重要です。

◆ 動脈ガス塞栓(AGE:Arterial Gas Embolism) ・ エアーエンボリズム(空気塞栓症)
ダイビング時に最も気をつけなければならないのは、動脈ガス塞栓です。初心者はもとより上級者に至っても常時注意しなければなりません。

◆ 原因
高圧のガス(空気)をダイバーが潜水中に呼吸し、浮上する場合に息を止めると肺にある空気が膨張し始め肺が膨らみます。このとき息を止めた状態を続けると肺は異常に膨らみ、肺胞が破裂し体内に気泡がいきわたり様々な障害が起こります。この状態で一番危険なのは肺からの空気が動脈血中に気泡を作り出し、脳や心臓の細い血管に運ばれたとき気泡により血流を止めることになります。これを、動脈ガス塞栓(AGE)という。

◆ 症状
浮上後約10分程で症状が現れます(パニック状態)。症状は、目まい、目のかすみ、胸の痛みなどがあり血痰を吐き咳が止まらず呼吸困難に陥り、痙攣を起こす場合もあります。感覚、言語、神経障害、四肢麻痺、意識障害を起こし、最悪の場合は、死に至ることがあります。

◆ 応急手当
有資格者による酸素吸入も効果的ですが、早急に再圧治療を受けれる医療機関に運び医師の診断を受けさせます。DAN JAPANに問い合わせて判断を仰ぐことも必要です。

◆ 予防法
潜水中は絶対に息を止めず、常時呼吸を整えて行ってください。レギュレターをはずした場合はフリーフロー(口から空気を少しづつ吐く)を行う。また浮上中に大きく咳き込む場合は一旦停止し様子を見る。比較的浅い場合(5m〜10m)の圧力変化が大きい為細心の注意をはらって下さい。

◆ 以上までは動脈内に発生する気泡による障害について記述しましたが、次にエアーエンボリズムでの他の箇所での起こりうる様々な障害について例を紹介します。

▼ 気胸・・・・・・・・・ 胸膜内に気泡が入り込み肺を圧迫します。

▼ 縦隔洞気腫・・・・心臓周辺に気泡が入り心臓を圧迫します。

▼ 皮下気腫・・・・・・首の周りの皮下に気泡が入り込み気道を圧迫します。



■ 減圧症 (DCS: Decompression Sickness)

いわゆる潜水病です。スキューバーダイビングにて引き起こされる障害はすべて潜水病ですので、「減圧症」と呼ばれています。

◆ 原因
ダイバーが潜水しているときに呼吸する空気は高圧で圧縮されています。この空気を一定の深度と時間を越えて呼吸した場合(無限圧潜水限界時間)体内に溶解している窒素ガスが急激に浮上することにより過飽和(最大限度まで満たされた状態を超えること)状態になり、気泡化した窒素が組織を圧迫したり、血管の閉塞を引き起こしたりして、様々な障害をもたらします。

◆ 症状
初期症状として、皮膚が痛がゆくなたっり、まだらの斑点、汗疹のようなものが見られます。四肢の関節痛や腕、足の筋肉痛、別に疲労感や脱力感が出ることがあります。そして目まい、吐き気、耳鳴り、頭痛、視力の低下、呼吸困難と進みさらに症状が重くなると足の裏、下半身の麻痺、尿閉、尿失禁、言語、意識障害を起こし死亡に至ることがあります。

最初は痛みを感じますが、徐々に痛みが薄れてきますがこれは良くなっているのではなく、症状が悪化している事と思わねばならないでしょう。脊髄の減圧症にかかり、知覚麻痺を起こしている場合は、身体の中心から筆、氷等にて足、手などからだの末梢まで刺激し知覚の消失点を調べます。主に足の末梢から起こるとされています。尚減圧症は浮上後、2時間以内に起こるとされています。(95%以上が)

◆ 応急手当
治療法は、ほとんど決まっていますが、医師の診察を受け、早急に再圧治療を行います。初期の治療に失敗すると重症化しますので慎重に行うことが求められます。有資格者による酸素吸入も効果的ですが、DAN JAPANの判断を聞くことも必要になるでしょう。

◆ 予防法
まず、第一に無限圧潜水時間を必ず守ります。万が一時間を越えてしまった場合はダイビングテーブル、ダイビングコンピュータに従い正確な減圧停止を行う。問題は無限圧停止時間内であっても、個人差により減圧症は約1%程は発症することがわかっています。常に水深5m位にて十分時間をすごし(安全停止)た後ゆっくり浮上することにより事故を防げます。

また一度のダイビングで極端な水深の上下を繰り返したり、ダイビング終了間際に深いところに潜水したり、連続潜水(2〜3本)において最初より後のほうで深く潜水した場合、発症の確立が高くなります。さらに浮上後航空機や峠越え等一気圧より低い圧力のところへ移動すると発症することが分かっていますので、十分注意しましょう。

ダイビング以前の問題ですが、ダイビング時の健康状態の悪化(疲労等)、前日の飲酒等にによる脱水症状でも発症を促進させますので注意しましょう。

◆ 最圧治療
最圧治療とは、5気圧までかけることのできる気密室設備(人一人がやっと入れるタンク、ポータブルチャンバー、ポータブルロック)に入ります。

職業ダイバーの場合はかなりの深度での作業が要求されますが、高気圧作業安全衛生規則にて再圧室の設置が義務づけられており船上にて治療を行うことも可能ですが、スポーツダイバーの場合は、ほとんど近くにそのような設備がありません。(ショップの中には自前のポータブルチャンバーを備えているところもある。)

そこで、ダイバー、ショップの人間ともども最寄の再圧施設の所在地の確認、及び搬送方法を知っておかなければなりません。ほとんどのダイビングスポットが人里はなれたところにあり、再圧治療施設まで遠いところが多いため応急処置として、DAN JAPANの会員であればホットラインにてアドバイスを専門の医師に聞くことができます。

これらの治療は医療行為である為医師にしか施術は行えません。しかし、緊急時医師以外のものがタンクの操作を行う場合がありますが、やみくもに再圧をすればかえって症状悪化につながる場合がある為、一刻も早く病院へ搬送する事が望ましいでしょう。

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